◆三思一言◆◆◆竹アラカルト⑴ 2021.04.30
◆春なのに「秋」
今年は桜やツツジもかってないほどの早い開花で、タケノコの季節もあっというまに終わりました。
ふと気が付くともう「竹の秋」。例年ならば5月に入ってからの風景が、今年は4月下旬に始まりました。タケノコが若竹としてグングン成長するころ、葉の色が黄色くなって落葉することを「竹の秋」といいます。ここ2,3日に撮った動画をYouTubeに掲載しましたので、見たことのない方はご覧ください。
反対に他の樹木が紅葉するころ、竹は地下茎にⅡ~3㎝のタケノコをつけ、それを育てるために栄養分を吸収して青々と輝き、これを「竹の春」とよんでいます。
乙訓地域はタケノコや竹材の名産地。西山やその麓には、高速道路や生活道路、学校や住宅地に隣接してタケノコ畑が広がっています。そこでは四季の移ろいがあり、そして営々と生産を続ける農家の人たちがいます。
一口に竹といっても、日本古来の真竹・淡竹、江戸時代に中国から伝来した孟宗竹、そして観賞用の黒竹など多くの種類と特性があります。また私たちが目にする竹の風景をよく見ると、自生しているところ、人工的に植えられ管理されているところ、さらにはそれが放置されてしまったところと様々です。
◆広くて深い竹文化
木でも草でもない竹。根は食用のタケノコ、稈は建材や生活用具や工芸品になって日本人のくらしと深く結びついてきました。2000年に刊行された『京タケノコと鍛冶文化』は、この地域のタケノコ収穫に欠かせない「ホリ(鍬)」の技術継承が危機的な状況になったのをきっかけに、長岡京市教育委員会が総合調査を行い、「竹の地理」「竹の歴史」「鍛冶屋の系譜」「鍛冶技術と製品」「タケノコ農家と栽培技術」「情報と流通システム」「京タケノコと食文化」「タケノコをめぐる現状と課題」と、竹に関する網羅的なテーマをまとめたものです。
また杉谷保憲さんは、住民の立場で放置竹林の問題に取り組んだ経験から、竹と人間の関係、竹と地域の関係について含蓄のある発言をされています。
この「竹アラカルト」シリーズは先学に学びつつ、自分の伝えたい映像と関心を、コラムとして紹介するものです。竹に興味のある方は、ぜひご訪問下さい。
-参考文献-
・『京タケノコ』と鍛冶文化 長岡京市教育委員会 2000年
・杉谷保憲『京たけのこが教えてくれた-放置竹林の喜怒哀楽』 京都新聞出版センター 2010年
春 長岡京市開田 タケノコ掘り
春 向日市神崎屋 乙訓タケノコ
春 長岡京市西代公園 竹の秋
夏 長岡京市井ノ内
夏 長岡京市奥海印寺
夏 長岡京市粟生
秋 長岡京市長法寺
秋 長岡京市奥海印寺
秋 長岡京市奥海印寺
冬 長岡京市開田 敷き藁
冬 長岡京市開田 土入れ
冬 長岡京市奥海印寺